ソフトウェア型波動粒子相互作用解析装置 (S-WPIA)

波動粒子相互作用を介したプラズマ・粒子と波動とのエネルギー交換過程を理解するために、新たに開発されたS-WPIA装置がERG 衛星に搭載されます。波動粒子相互作用による電子の運動エネルギーの時間発展は、次のように決められます:

ここで、m0は電子の静止質量、cは光の速さ、γはローレンツ因子、tは時間、qは電子の電荷、Eはプラズマ波動の電場の瞬時値、νは電子の速度、θはEとνの間の相対位相です。正のqE(t)⋅ν(t)は波動による粒子の加速を意味し、負のqE(t)⋅ν(t)は波動の成長を意味します。相対位相θはエネルギー流の方向を決定します。

最近、E⋅νを直接計測する画期的な方法が提案されました [Fukuhara et al., 2009]。この発案に基づいて、S-WPIAは、機上の粒子計測器によって検出された各粒子について相対位相を直接計算します。S-WPIAはv-θの位相空間内の低密度領域を同定することができます。この低密度領域は、いわゆる電子ホールに相当し、理論的に予測されています [Omura et al., 2008]。このように、S-WPIAは、どの電子がコーラス波動の発生に寄与し、どの電子が実際にコーラス波動によって加速されたかを定量的に識別します。これが実現すると、宇宙空間で波動粒子相互作用によってどのようにエネルギー変換が起こるかをはっきりと同定する初めての観測となります。

図1は、 ERG 衛星に搭載されるS-WPIAのデータ処理を模式的に示したものです。プラズマ波動受信機で観測された波形Eとともに粒子計測器で捕捉されたすべての粒子の速度ベクトルは、即時に機上のメモリに記憶されます。機上のCPUは、機上のメモリに蓄えられたデータを読み出し、速度ベクトルと対応する振幅の瞬時値の間の位相差を計算します。一度データがθで分類されれば、図1aに示したようなカウント数の分布が得られます。一方、ΣE⋅νの時間変化から波動粒子相互作用によるエネルギー変換の情報が得られます。私たちは、様々なピッチ角におけるエネルギー交換を比較することができます(図1b)。

Figure 1: Schematic diagram of the measurement of the software wave-particle interaction analyzer system onboard the ERG  satellite.
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