プラズマ波動・電場観測器 (PWE)

PWEは、DCから10 MHzまでの周波数帯の電場と数 Hzから100 kHzまでの周波数帯の磁場を計測します。設計は、BepiColombo Mercury Magnetospheric Orbiter (MMO) に搭載されるプラズマ波動観測器 (PWI) を少し変更したものを基にしています。電場成分は、両端間の長さが約32 mの2対のワイヤーダイポールアンテナで計測されます。磁場成分は、3軸サーチコイルで計測されます。これらは、2つの受信機と、電場計測器 (EFD)・波形捕捉受信機 (WFC)・機上周波数分析器 (OFA) から成るEWO、高周波分析器 (HFA)によって提供されます。EWOは常に電場・磁場のデータを、低周波の波形 (512 Hzサンプリング) と波動スペクトル (10 Hzから20 kHz)、それらのスペクトルマトリックスとして得られます。これらのデータは、波動の伝搬方向とポインティングフラックスを決定するのに使用できます。また、衛星電位 (256 Hzサンプリング) も計測するので、電子密度の急速な変動を推定することができます。さらに、EWOは電磁場の生波形データ (60 kHzサンプリング) を蓄積し、データの一部は、研究者が低分解能データを基に選んだ後、テレメトリの制限内で地上に転送されます。HFAは、電場 (10 kHz to 10 MHz) と磁場 (10-100 kHz) の波動スペクトルを得ます。電子密度は、衛星上で高域混成共鳴周波数から同定します。EWOによる電場・磁場波形とHFAによる電子密度はS-WPIAに受け渡されて、波動のモードと波動粒子相互作用の特徴を同定します。

図1は、PWEとMGFの周波数帯とERG 衛星の軌道上で期待される鍵となるプラズマ波動を示します。ホイッスラーモードのコーラス波 [e.g., Santolik et al., 2003; Miyoshi et al., 2007; Omura et al., 2008; Li et al., 2011] と磁気音波 [e.g., Kokubun et al., 1991; Kasahara et al., 1994; Meredith et al., 2008] は、相対論的電子を生成する非断熱的加速を理解するのに重要です。リングカレントのイオンによって励起されるEMIC波 [e.g., Sawada et al., 1991; Kasahara et al., 1992; Jordanova et al., 2008] は、急速な相対論的電子のピッチ角散乱を引き起こします [e.g., Summers and Thorne, 2003; Albert, 2003; Miyoshi et al., 2008]。プラズマ圏では、ホイッスラーモードのヒス波が高エネルギー電子のピッチ角散乱を引き起こします [e.g., Lyons et al., 1972; Meredith et al., 2009]。

また、PWEの計測は、宇宙嵐中に内部磁気圏の電場がどのように発展するかも解明すると期待されます。対流電場により、プラズマシートやリングカレントのプラズマ粒子が大規模に輸送されます。この対流電場の種類には、CRRESやAkebono衛星が内部磁気圏で観測したような大きい電場 [e.g., Rowland and Wygant, 1998; Nishimura et al., 2007] や、プラズマ圏の発展に影響するサブオーロラ帯の高速流 (SAPS) に伴う局所的な電場 [e.g., Goldstein et al., 2003]、領域2型電流系を介した磁気圏電離圏結合によって大きく制御される内部磁気圏の電場 [e.g., Ebihara et al., 2004] があります。さらに、MGFと組み合わせることで、PWEは約5分の周期のULF Pc5脈動も計測できます。Pc5脈動は、動経拡散による準断熱的加速を駆動します。

図1: プラズマ波動観測器と磁場観測器の周波数範囲。

表1: 最小テレメトリプラン
機器名称タイプ時間分解能ビット数周波数点数チャンネル数
EWO-EFD (DPB)spectrum (2-80 Hz)1 Hz8402
EWO-EFD (DPB)waveform8 Hz16-2
EWO-EFD (SPB)waveform4 Hz16-4
EWO-OFA/WFC (E)spectrum (10 Hz - 20 kHz)2 Hz8661
EWO-OFA/WFC (E)waveform (ELF)1024 Hz14 (16)-2
EWO-OFA/WFC (E)waveform (VLF)65536 Hz14 (16)-2
EWO-OFA/WFC (B)spectrum (10 Hz - 20 kHz)2 Hz8661
EWO-OFA/WFC (B)waveform (ELF)1024 Hz14 (16)-3
EWO-OFA/WFC (B)waveform (VLF)65536 Hz14 (16)-3
S-Matrix (E & B)S-Matrix0.5 Hz86614
HFA (E-2ch)spectrum-E (10 kHz - 10 MHz)18602
HFA (E/B)spectrum-E (10 kHz - 10 MHz)18602
HFA (E/B)spectrum-B (10 kHz - 100 kHz)18201

表2: 最大テレメトリプラン
機器名称タイプ時間分解能ビット数周波数点数チャンネル数
EWO-EFD (DPB)spectrum (2-32 Hz)1 Hz8402
EWO-EFD (DPB)waveform8 Hz16-2
EWO-EFD (SPB)waveform4 Hz16-4
EWO-OFA/WFC (E)spectrum (10 Hz - 20 kHz)2 Hz8661
EWO-OFA/WFC (E)waveform (ELF)1024 Hz14 (16)-2
EWO-OFA/WFC (E)waveform (VLF)65536 Hz14 (16)-2
EWO-OFA/WFC (B)spectrum (10 Hz - 20 kHz)2 Hz8661
EWO-OFA/WFC (B)waveform (ELF)1024 Hz14 (16)-3
EWO-OFA/WFC (B)waveform (VLF)65536 Hz14 (16)-3
S-Matrix (E & B)S-Matrix0.5 Hz86614
HFA (E-2ch)spectrum-E (10 kHz - 10 MHz)18602
HFA (E/B)spectrum-E (10 kHz - 10 MHz)18602
HFA (E/B)spectrum-B (10 kHz - 100 kH)18201
  • DPB: double probe for electric field
  • SPB: single probe for spacecraft potential
  • OFA-E & B (数 Hz - 20 kHz、E 1ch & B 1ch) 2.1 kbps
  • 高時間分解能モード: 66周波数点、Δt=0.5 s
  • 高周波数分解能モード: 264周波数点、Δt=4.0 s
  • 中分解能モードも搭載の予定。
表3: アンテナの諸元
アンテナ重量仕様
WPT-S (Ex+, Ex-)
(伸展機構含む)
0.74 kg x 215 m x 2基
ワイヤ: 0.18 mmφ ステンレス
球プローブ: 6 cmφ, 50 g
MEFISTO-S (Ey+, Ey-)
(伸展機構・PreAmp含む)
0.89 kg x 215 m x 2基
ワイヤー: 0.1-0.3mmφ
球プローブ: 4 cmφ チタン
SC (Bx, By, Bz)1.12 kg20 cm x 3 軸
伸展マスト2.5 kg288 mm x φ270 mm(収納)
5318 mm x φ270 mm(伸展)
合計6.88 kg

表4: エレキの諸元
エレキ重量仕様
WPT-Pre (Ex+, Ex-)0.16 kg x 2DC - 10 MHz
SC-Pre (Bx, By, Bz)0.36 kg10 Hz - 500 kHz
PWE-E3.78 kgEFDDC - 64 Hz
WFC & OFA-E10 Hz - 20/120 kHz
WFC & OFA-B1 Hz - 20 kHz
MEFISTO-EDC - 32 Hz
SORBET2.5 kHz - 10 MHz
MAST/WPT-E1.31 kgマスト・アンテナ伸展制御
波動MDP4.5 kg
合計10.27 kg消費電力: 35.5 W

最終更新日: